長緒 鬼無里2017年9月26日1 分【一日一話】「ラスト・シャーマン」最終話 白い月「国とは壊すより続けることがいかに難しいか、大陸へ渡ってよくわかりました。だからこそ、そこに価値が生まれるのです。その価値を高めれば、この国はいかなる大国とも対等に肩を並べることができるはずです」 力強く語る男鹿の言葉に、月読は迷いの中始まった国造りに、ひとつの指標を見い出...
長緒 鬼無里2017年9月25日4 分【一日一話】「ラスト・シャーマン」最終章 第三話 重なる運命最近、皇后との間に、彼にとって二人目の子である皇子が生まれたとの報告も受けていた。 間もなく五つになる月世(つくよ)も、可愛い盛りだろう。 壹与は彼らと会える日を思い、久々に心を躍らせた。 それと同時に、とうとう女王の職務からも解放されるのだと思うと、安堵と不安...
長緒 鬼無里2017年9月24日2 分【一日一話】「ラスト・シャーマン」最終章 第二話 あたえられし者「ねえ牛利、あの人はなぜ、いつもあの女の子のそばにいてあげないのかな」 宮廷の庭を男鹿と歩いていた牛利は、初めて耳にした少年の声に思わず振り返った。 少年の視線は、少し離れた場所で向かい合う美しい少年と、幼い少女に向けられていた。...
長緒 鬼無里2017年9月23日2 分【一日一話】「ラスト・シャーマン」最終章 第一話 あたえし者「皆、兵を迅速に熊襲国に送ったお前に感心し、感謝していたぞ」 妹に背を向けたまま、覇夜斗はそう言った。 夕月は声を出さずに、はにかんだように小さく微笑んだ。 「私は不満だったがな」 そう言って振り返った覇夜斗は、腕組みして欄干に背中を預け、彼女を軽く睨んだ。 ...