top of page

検索


【一日一話】「ラスト・シャーマン」最終話 白い月
「国とは壊すより続けることがいかに難しいか、大陸へ渡ってよくわかりました。だからこそ、そこに価値が生まれるのです。その価値を高めれば、この国はいかなる大国とも対等に肩を並べることができるはずです」 力強く語る男鹿の言葉に、月読は迷いの中始まった国造りに、ひとつの指標を見い出...

長緒 鬼無里
2017年9月26日読了時間: 1分
閲覧数:40回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」最終章 第三話 重なる運命
最近、皇后との間に、彼にとって二人目の子である皇子が生まれたとの報告も受けていた。 間もなく五つになる月世(つくよ)も、可愛い盛りだろう。 壹与は彼らと会える日を思い、久々に心を躍らせた。 それと同時に、とうとう女王の職務からも解放されるのだと思うと、安堵と不安...

長緒 鬼無里
2017年9月25日読了時間: 4分
閲覧数:24回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」最終章 第二話 あたえられし者
「ねえ牛利、あの人はなぜ、いつもあの女の子のそばにいてあげないのかな」 宮廷の庭を男鹿と歩いていた牛利は、初めて耳にした少年の声に思わず振り返った。 少年の視線は、少し離れた場所で向かい合う美しい少年と、幼い少女に向けられていた。...

長緒 鬼無里
2017年9月24日読了時間: 2分
閲覧数:12回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」最終章 第一話 あたえし者
「皆、兵を迅速に熊襲国に送ったお前に感心し、感謝していたぞ」 妹に背を向けたまま、覇夜斗はそう言った。 夕月は声を出さずに、はにかんだように小さく微笑んだ。 「私は不満だったがな」 そう言って振り返った覇夜斗は、腕組みして欄干に背中を預け、彼女を軽く睨んだ。 ...

長緒 鬼無里
2017年9月23日読了時間: 2分
閲覧数:15回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第四章 第五話 別れのかたち
「皆、お前を応援している。必ず目的を果たして帰って来い」 これまで見せたことのない、穏やかな笑みを浮かべてそう言う建(たける)に、男鹿も微笑んで頭を下げた。 「ありがとうございます」 「ぐずぐずしていると、壹与様(あのかた)を誰かが妻にしてしまうぞ。まあ、だとすれば、おそら...

長緒 鬼無里
2017年9月22日読了時間: 2分
閲覧数:18回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第四章 第四話 それぞれの未来
「倭国をひとつにする計画は、まだ始まったばかりです。そのため私は、常にあなた方のことを一番に考えているわけにはいかぬのです」 言葉媛(ことのはひめ)は、黙って夫の顔を見つめていた。 月読は切な気な表情を浮かべ、彼女の瞳を見つめて言葉を続けた。...

長緒 鬼無里
2017年9月21日読了時間: 1分
閲覧数:18回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第四章 第三話 建国の礎(いしずえ)
「ふん。結局血を流すことなく、大陸の技術を手に入れおったな」 少し離れた場所から月読を見つめ、覇夜斗が鼻を鳴らして笑った。 それを聞いて男鹿も大きくうなずいた。 月読は何一つごまかしたり、大袈裟に話したりはしない。 ただ、真実と自分の想いを淡々と語るだけだ。 ...

長緒 鬼無里
2017年9月20日読了時間: 1分
閲覧数:16回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第四章 第二話 晴天の闇
「大王、天幕をご覧ください!」 血相を変えて飛び込んで来た王は、壹与の背後に下げられた天幕を指差した。 壹与はゆっくりと体を半回転させて天幕を見上げ、小さく叫び声を上げた。 そこには無数の三日月の形をした光が散らばり、木の影に合わせてゆらゆらと揺れていた。 ...

長緒 鬼無里
2017年9月19日読了時間: 1分
閲覧数:15回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第四章 第一話 狗奴国上陸
「見えるか、野猪」 岬を越え、日向国の港のある湾の入り口まで来た時、男鹿が前方を指差して声をかけた。 慌てて彼の指差す方向に野猪が目を向けると、薄暗くなり始めた空のもと、湾の中央に横たわる巨大な島陰が見えた。 第一話 狗奴国上陸 今回から、第四章が始まります。 ...

長緒 鬼無里
2017年9月18日読了時間: 2分
閲覧数:10回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第三章 第七話 決戦への船出
使者はにやりと笑って見せた後、今回の戦に向けての計画を彼に語って聞かせた。 その内容に、覇夜斗は途中何度も目を見開き、声を上げそうになった。 すべてを聞き終えた覇夜斗は、しばらく言葉を失い、落ち着き無くあごに触れていた。...

長緒 鬼無里
2017年9月17日読了時間: 3分
閲覧数:15回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第三章 第六話 熊襲兄弟
「お前達は、呉の人間なのか?」 しばらく無言の時間が過ぎ、不意に壹与が建(たける)に問うた。 見た目で倭と呉の人間を区別するのは難しいが、彼女は彼に同じ倭人の持つ空気のようなものを感じていた。 「いや。我々は倭人だ。こう見えても筑紫島の西南にある熊襲という国の王族の者だ...

長緒 鬼無里
2017年9月16日読了時間: 2分
閲覧数:13回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第三章 第五話 現世(うつつよ)
「兄の誤った判断で、この子をこんな目に遭わせてしまった。私にもせめてもの償いをさせて欲しい」 橘はそう言うと深く頭を下げた。 しかし、なおも男鹿の顔を見て戸惑いを見せる牛利に、橘は力を込めた瞳を向けた。 「おぬしが今いるべき場所は、ここではなく皇子様のおそばであろう。さ...

長緒 鬼無里
2017年9月15日読了時間: 2分
閲覧数:6回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第三章 第四話 剣の舞
「貸せ!」 覇夜斗はそばにいた兵から弓と矢を奪い取ると、人波の向こうで弓を構える男に向かって矢を放った。 矢を胸に受けた男は、くぐもった声を上げてその場に倒れた。 第四話 剣の舞 なな色みらん画 今回は、私の親友で色鉛筆画家の「なな色みらん」ちゃんをご紹介しま...

長緒 鬼無里
2017年9月14日読了時間: 2分
閲覧数:6回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第三章 第三話 望まざる運命
その夜、壹与は明石国の宮殿内の寝所で眠りについていた。 すきま風の冷たさに目が覚め、天幕を持ち上げて戸口の方へ目を向けると、壁際に座った姿勢で眠る男鹿の姿があった。 彼は肩に立てかけた剣に寄りかかるようにして寝息を立てていた。 ...

長緒 鬼無里
2017年9月13日読了時間: 2分
閲覧数:4回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第三章 第二話 策略の戦
「……張政様。ひとつ伺ってもよろしいですか」 少し間を置いて、男鹿は張政に問いかけ、老人は微笑みを浮かべながら頷いた。 「今回の戦は、魏の意向によるものですか」 張政は目を見開き、驚きの表情を見せた。 「魏がこのような小国に、あなたを長年留め置き、親身に尽くして下さる理由が...

長緒 鬼無里
2017年9月12日読了時間: 1分
閲覧数:6回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第三章 第一話 覚悟の旅
「今日からあなたは、私の兄上ね」 旅の間、男鹿が常にそばにいても不審がられぬよう、二人は兄弟を装うことにしていた。 照れくさそうに頭を掻く男鹿の胸に、壹与は微笑んで身を寄せた。 「まだもう少し、女でいていい?」 男鹿は愛し気に彼女の体を両手で包み込んだ。 ...

長緒 鬼無里
2017年9月12日読了時間: 2分
閲覧数:6回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第九話 月の神
それからしばらくして、月読達は伊予国をめざし吉備国の港から出発した。 先頭に覇夜斗が率いる出雲の兵を載せた第一船団、その後方を月読の率いる第二船団が続いた。 航路をまっすぐ南に定め、連なる島々の間を縫うように進行していくと、じきに巨大な伊予之二名島〜いよのふたなのし...

長緒 鬼無里
2017年9月10日読了時間: 1分
閲覧数:5回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第八話 二人の母
「月読様にこのことをお話した時、最後の神託だけは様子が違ったとおっしゃっていました」 「最後の神託……」 それは、七日間続いた嵐をおさめるため、卑弥呼が祈祷し続け、命を落とした時くだされた神託のことだ。 「七日間も神託が聞こえないなど、それまでは一度もなかったと」 ...

長緒 鬼無里
2017年9月9日読了時間: 1分
閲覧数:10回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第七話 戦の足音
男鹿は敵の隙を突いて一人の男の脇腹に剣を差し込み、一気に切り裂いた。 初めて感じる肉や骨を切る鈍い感触と共に血が飛び散り、彼の顔や衣を赤く染めた。 幼い頃から牛利から剣術を刷り込まれていたせいか、頭で考えるより先に体が動いた。 第七話 戦の足音 ...

長緒 鬼無里
2017年9月8日読了時間: 2分
閲覧数:6回
0件のコメント


【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第六話 出雲の巫女
「あの国の王は、なかなか曲者(くせもの)ですぞ」 吉備国の王は、そう言って口元を歪ませながらあごを撫でた。 狗奴国との戦いに際し、長年来の同盟国である吉備国の王は協力を快諾してくれた。 しかし、このあと月読達が出雲国へ陸路で向かうつもりであると伝えると、急に苦々しそ...

長緒 鬼無里
2017年9月7日読了時間: 1分
閲覧数:8回
0件のコメント
bottom of page