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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第三章 第一話 覚悟の旅
「今日からあなたは、私の兄上ね」 旅の間、男鹿が常にそばにいても不審がられぬよう、二人は兄弟を装うことにしていた。 照れくさそうに頭を掻く男鹿の胸に、壹与は微笑んで身を寄せた。 「まだもう少し、女でいていい?」 男鹿は愛し気に彼女の体を両手で包み込んだ。 ...

長緒 鬼無里
2017年9月12日読了時間: 2分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第九話 月の神
それからしばらくして、月読達は伊予国をめざし吉備国の港から出発した。 先頭に覇夜斗が率いる出雲の兵を載せた第一船団、その後方を月読の率いる第二船団が続いた。 航路をまっすぐ南に定め、連なる島々の間を縫うように進行していくと、じきに巨大な伊予之二名島〜いよのふたなのし...

長緒 鬼無里
2017年9月10日読了時間: 1分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第八話 二人の母
「月読様にこのことをお話した時、最後の神託だけは様子が違ったとおっしゃっていました」 「最後の神託……」 それは、七日間続いた嵐をおさめるため、卑弥呼が祈祷し続け、命を落とした時くだされた神託のことだ。 「七日間も神託が聞こえないなど、それまでは一度もなかったと」 ...

長緒 鬼無里
2017年9月9日読了時間: 1分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第七話 戦の足音
男鹿は敵の隙を突いて一人の男の脇腹に剣を差し込み、一気に切り裂いた。 初めて感じる肉や骨を切る鈍い感触と共に血が飛び散り、彼の顔や衣を赤く染めた。 幼い頃から牛利から剣術を刷り込まれていたせいか、頭で考えるより先に体が動いた。 第七話 戦の足音 ...

長緒 鬼無里
2017年9月8日読了時間: 2分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第六話 出雲の巫女
「あの国の王は、なかなか曲者(くせもの)ですぞ」 吉備国の王は、そう言って口元を歪ませながらあごを撫でた。 狗奴国との戦いに際し、長年来の同盟国である吉備国の王は協力を快諾してくれた。 しかし、このあと月読達が出雲国へ陸路で向かうつもりであると伝えると、急に苦々しそ...

長緒 鬼無里
2017年9月7日読了時間: 1分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第五話 二度目の恋
壹与が墓の築造現場を訪れると、大勢の男達が木を切り倒して更地を造成していた。 張政の説明では、斧を使って樹木の幹の半分ほどまで切れ込みを入れ、その後、縄を掛けて大勢で反対方向に引き倒すのだという。 そうして更地にした地面の上に土を盛っていくのだ。 ...

長緒 鬼無里
2017年9月6日読了時間: 2分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第四話 変化
「あの方は亡くなった方にさえ、まだ愛情を注いでいらっしゃるのだもの」 彼女は月読の髪に、いつも目立たぬよう女物の櫛が挿されていることに気が付いていた。 そしてそれはおそらく、ここへ来る前に亡くした妻の形見であろうと確信していた。 ...

長緒 鬼無里
2017年9月5日読了時間: 2分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第三話 守れなかったもの
日々続く生きるか死ぬかの戦いの中で、牛利は弥鈴(みすず)に再会できる日だけを心の支えに生きていた。 「ここで死ぬ訳にはいかぬ」 その思いが、時には彼を凶暴な殺人鬼に変貌させ、数えきれない数の敵を殺めてきたのだ。 第三話 守れなかったもの ...

長緒 鬼無里
2017年8月31日読了時間: 1分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第二話 神の血
「美しいな……」 月読は思わず立ち止まり、朝霧に煙る眼下の光景に感嘆の声を上げた。 彼らの背後からゆっくりと太陽の光が注ぎ始め、山並みが広大な大地に長い影を描き始めた。 それと同時に、平野の北側に静かに横たわる巨大な湖と、その向こうに広がる海が、朝日を水面の光に替え...

長緒 鬼無里
2017年8月30日読了時間: 2分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第一話 背徳の決意
「張政から聞きました。本気で今回の職務を受けるつもりですか?」 「はい。唯一この国を護る術ならば」 一晩彼なりに考えた答えに迷いはなかった。 「神に逆らうような行為なのよ?」 壹与は思わず感情的になって声を荒げた。 男鹿は無言で少女の目をまっすぐ見つめていたが、しばらく...

長緒 鬼無里
2017年8月29日読了時間: 2分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第一章 第六話 巫女の涙
「男鹿! 壹与を頼む!」 「はっ!」 戸口のそばに立っていた男鹿は、素早く駆け寄り壹与を抱き上げると、白装束の女達を連れて部屋を出て行った。 第六話 巫女の涙 この回で、私が高校生の頃に書いた第一章は完結です。 ...

長緒 鬼無里
2017年8月28日読了時間: 1分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第一章 第五話
その男の罠にまんまとはまったのだぞ。私は」 皮肉気に鼻で笑い、月読は額に巻かれた帯を解くと、垂らしていた髪をそれでひとつに束ねた。 巫女の装束を身にまとい、月光を浴びた月読は、どこか妖艶で神秘的に見えた。 第五話 刹那の愛 ...

長緒 鬼無里
2017年8月27日読了時間: 1分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第一章 第四話 偽りの告白
「何の恨みがあって……」 憎々しげに月読は、難升米を睨みつけた。 「恨み? とんでもない。そもそもお前達姉弟が、私から権力を奪ったのではないか。卑弥呼は私の父王上筒之大王の死を機に大王の座におさまり、継承権を持つ私を魏へ送った。本来なら大王の子である私が継ぐはずだった王の座...

長緒 鬼無里
2017年8月26日読了時間: 1分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第一章 第三話 淡い想い
若い夫婦は、どこかへ出かけるとなると必ず壹与も誘った。 別に断る理由も無いので、いつも彼らの後についてゆく壹与であったが、なぜか仲睦まじい月読達の姿を目の当たりにすると、少女の胸はちくちくと痛んだ。 それは恋と呼ぶにはあまりに幼稚な感情であったが、彼女にとっては生ま...

長緒 鬼無里
2017年8月25日読了時間: 1分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第一章 第二話 最後の神託
ふっとよろめいた姉の体を、咄嗟に少年の細い腕が支えた。 「姉上、少しは休まれないと御身がもちますまい」 休息をすすめる弟の言葉に、大王は首を左右に大きく振った。 「否! こうしている間にも人が死に、子が泣いています。私には民を守らねばならぬ使命がある!」...

長緒 鬼無里
2017年8月24日読了時間: 1分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」第一話 美しい皇子
「月読、また行っちゃうの?」 壹与は悲しみを満面に映して、月読を見上げた。 「姉上がお呼びなんだ。わかるね。壹与」 返事をする代わりに壹与は侍女の背後に隠れた。 まだ五つの幼子に政治の重要性などわかるはずあるまい。 ...

長緒 鬼無里
2017年8月23日読了時間: 1分
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【一日一話】「ラスト・シャーマン」序幕 誕生
------------------------------------------------- こちらは、別サイトにて「一日一話」と銘打って連載していたものの転載です。 一日一話ずつ文章の一部を紹介し、それを書くに至るまでに得た情報や、考え方などを書き連ねたものです。...

長緒 鬼無里
2017年8月22日読了時間: 1分
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兵庫県南部日帰り旅行2 古代鏡展示館
古代鏡展示館 生石神社を出た私たちは、加西市へ向かいます。 次の目的地「古代鏡展示館」は加西市の「兵庫県立フラワーセンター」という植物公園の中にあります。 今年の4月にオープンしたばかりなのですが、オープン前からチラシを見ていきたいと思っていたところです。...

長緒 鬼無里
2017年6月19日読了時間: 4分
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兵庫県南部日帰り旅行1 生石神社
先日、歴史好き女子三人で、兵庫県の南部を巡ってきました。 今回の旅の目的地はこちら。 ⑴ 高砂市の「生石(おうしこ)神社」 ⑵ 加西市の「古代鏡展示館」 ⑶ 小野市の「浄土寺」 ⑷ 神戸市の「五色塚古墳」 其の一 生石(おうしこ)神社...

長緒 鬼無里
2017年6月19日読了時間: 3分
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遊女の生き様からみる日本人の死生観
先日、堺市にある「紙カフェ」さんで行われたイベントに参加させていただきました。 こちらは、紙製の雑貨店も併設されているカフェで、古墳に関するグッズも置かれているため、最近頻繁に足を運ぶようになりました。 今回のイベント名は『堺の遊郭企画Vol.2 紙カフェ&音遊...

長緒 鬼無里
2017年4月23日読了時間: 6分
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