その男の罠にまんまとはまったのだぞ。私は」
皮肉気に鼻で笑い、月読は額に巻かれた帯を解くと、垂らしていた髪をそれでひとつに束ねた。 巫女の装束を身にまとい、月光を浴びた月読は、どこか妖艶で神秘的に見えた。 第五話 刹那の愛 月読のモデルは、アマテラスオオミカミの弟神、月読尊(ツクヨミノミコト)です。 一般的には男性とされている神ですが、実は性別は定かではありません。 イラストなどでも、中性的で妖艶な容姿で描かれることが多いように思います。 本作では、そんな月読の独特のイメージを参考にして、中性的な美しさを持った青年として書かせていただいています。