長緒 鬼無里2017年9月6日2 分【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第五話 二度目の恋壹与が墓の築造現場を訪れると、大勢の男達が木を切り倒して更地を造成していた。 張政の説明では、斧を使って樹木の幹の半分ほどまで切れ込みを入れ、その後、縄を掛けて大勢で反対方向に引き倒すのだという。 そうして更地にした地面の上に土を盛っていくのだ。 ...
長緒 鬼無里2017年9月5日2 分【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第四話 変化「あの方は亡くなった方にさえ、まだ愛情を注いでいらっしゃるのだもの」 彼女は月読の髪に、いつも目立たぬよう女物の櫛が挿されていることに気が付いていた。 そしてそれはおそらく、ここへ来る前に亡くした妻の形見であろうと確信していた。 ...
長緒 鬼無里2017年8月31日1 分【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第三話 守れなかったもの日々続く生きるか死ぬかの戦いの中で、牛利は弥鈴(みすず)に再会できる日だけを心の支えに生きていた。 「ここで死ぬ訳にはいかぬ」 その思いが、時には彼を凶暴な殺人鬼に変貌させ、数えきれない数の敵を殺めてきたのだ。 第三話 守れなかったもの ...
長緒 鬼無里2017年8月30日2 分【一日一話】「ラスト・シャーマン」第二章 第二話 神の血「美しいな……」 月読は思わず立ち止まり、朝霧に煙る眼下の光景に感嘆の声を上げた。 彼らの背後からゆっくりと太陽の光が注ぎ始め、山並みが広大な大地に長い影を描き始めた。 それと同時に、平野の北側に静かに横たわる巨大な湖と、その向こうに広がる海が、朝日を水面の光に替え...