「ふん。結局血を流すことなく、大陸の技術を手に入れおったな」
少し離れた場所から月読を見つめ、覇夜斗が鼻を鳴らして笑った。 それを聞いて男鹿も大きくうなずいた。 月読は何一つごまかしたり、大袈裟に話したりはしない。 ただ、真実と自分の想いを淡々と語るだけだ。 なのに、なぜ彼の言葉がこれほど人の心を掴むのか、男鹿には不思議だった。 第三話 建国の礎(いしずえ)
イラスト/なな色みらん 卑弥呼の時代を語る時、避けて通れないのが「邪馬台国はどこにあったのか」ということですね。 私はこの作品の中で、邪馬台国は奈良県の桜井市周辺にあったと仮定して書いています。 だからと言って、「畿内説論者」というわけではなく、創作家としては、あらゆる可能性を受け入れられる、柔軟な姿勢を常に保ち続けたいと思っています。 そのあたりの考え方を、以前エッセイとして書いていますので、興味をお持ちの方はご一読ください。 エッセイ「妄想の餌」より「九州説と近畿説」