それからしばらくして、月読達は伊予国をめざし吉備国の港から出発した。 先頭に覇夜斗が率いる出雲の兵を載せた第一船団、その後方を月読の率いる第二船団が続いた。 航路をまっすぐ南に定め、連なる島々の間を縫うように進行していくと、じきに巨大な伊予之二名島〜いよのふたなのしま〜(四国)の島影が姿を現した。 秋の高い空は晴れ渡り、海原は凪いで不気味なほど静かだった。 第八話 月の神 この回で、月読たちは吉備国の港を出港し、伊予国を目指します。 彼らが航路にしているのは、「しまなみ海道」をイメージしています。(吉備国は広島県の東部にまで及んでいたとされています) 当時の吉備国は、瀬戸内海を往来する船の拠点として、大陸や九州などからの物資が集まり、おおいに栄えていたと想像しています。 また、四国への航路や、日本海側へ続く陸路もあり、今でいうハブ港のような役割を担っていたのではと思っています。 縁あって近々吉備を訪れる機会に恵まれましたので、その時は現地の歴史と空気に触れて、古代吉備国へ思いを馳せたいと思います。
(今月の2日〜3日にかけて吉備に行ってきました。とても有意義な時間を過ごさせていただきました)