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こちらは、別サイトにて「一日一話」と銘打って連載していたものの転載です。
一日一話ずつ文章の一部を紹介し、それを書くに至るまでに得た情報や、考え方などを書き連ねたものです。
基本的には私の勝手な妄想ばかりですが、よろしければ最終話までお付き合いください。
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その女はもう若くなかった。 苦しみに噛み締められ、きりきりと鳴るその歯は列が乱れ、処々欠けていた。 睫の濃い瞳の下に刻まれた一筋の皺はあまりにも深く、彼女を実際の年齢より一層老いて見せていた。
序幕 誕生(カクヨム版) 序幕は主人公、月読(つくよみ)の誕生シーンです。 老いた母から生まれた彼は、その誕生によって母を死に至らしめる。 第一章を書いたのは高校生の頃で、当時は古事記についてもほとんど知識がなかったはずなのですが、大人になって読み返した時に、火の神を産んで命を落としたイザナミのエピソードに似ているなと、ちょっとゾクリとした覚えがあります。