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  • 執筆者の写真長緒 鬼無里

本を作っちゃいました♫(プロセス編)

多くの皆様のご協力のもと、ようやく完成した同人本ですが、去年の6月頃に作る意思を固めてから、ずいぶん時間がかかってしまいました。

その最大の要因は、私の校正の遅さにあります。

まず私は、小説を読むことがとても苦手。

それは、たとえ自分の書いたものであっても例外ではありません。

どうも私は、文章を読み取って理解するという能力が劣っているようで、書かれている文字を目で追おうとしても、表面を目が滑っている感覚で、内容があまり頭の中に入ってこないのです。

解説文や資料などは、単語を追っていくと自然と頭の中でそれらが繋がっていって理解できるのですが、小説のように文章として吸い上げなくては流れがつかめなかったり、感情移入できないものは、文字のひとつひとつに意識を集中させて見る必要があり、時間と労力を伴うのです。

それでも執筆し、更新する際には何十回も読み返すのですが、それも目だけではなく、読み上げ用のアプリを使い、耳でも確認するようにしています。

耳で聞きながら文字を目で追うことによってなら、比較的目が滑らずに内容を理解しやすくなると感じています。

また、目で見ただけではわからないリズムやテンポ、文章の不自然さなども耳から聞くと気付きやすいような気がしています。

そんな私が校正をするということは、多分、他の方より無駄が多いのだと思います。

自分の書いたものですから、内容は頭の中に入っています。

そうなるとなおさら、目は文字の上を滑ってしまうので、見ているようで見ていないという状態になってしまいます。

そこで今度は口で読み上げてみます。

すると、接続詞のひとつひとつに「これでいいのか」と疑問を持ち始めたり、しっくりくるまで何度も単語の位置を文章の前後で入れ替えたりし始めます。

もともとほとんど本を読まない私は、文章の良し悪しを判断する能力もなく、理論も持ち合わせていませんので、すべては「自分が読んでおかしくないか」という感覚任せになってしまいます。

すると、前日は「これでいい」と思っていた接続詞が、今日は「納得できない」という現象も起き、なかなかゴールは見えてきませんでした。

その辺の試行錯誤の状況は今更ながらwordってすごいなと思った話の後半部分でも、少し語らせていただいています。

そうしてようやく、一通り校正ができたのが去年の秋頃。

そこで初めて、校正を引き受けてくださった「ねんねこねんねさん」に、原稿をお渡しすることができました。

どのような形で原稿をお渡しすればいいのかわからなかったので、とりあえず一章ずつPDFデータにして、フリーのサーバーを利用して送らせていただくことにしました。

ねんねこさんはこれまでPDFデータに馴染みがなかったようですが、それでもお嬢さんに使い方を聞き、苦心しながらPDF上で校正してくださいました。

「血を引く? 血をひく? どちらに統一します?」

とか

「!とか?のあとはスペースを入れます?」

など、私が気が付かなかった部分や、句点の位置がおかしいところなど、細かい部分を見ていただき、大変助かりました。

それでもいつも、私の意思を尊重して文章そのものではなく、細部のチェックに徹してくださり、本当にありがたかったです。

※吹き出しがねんねこさんがチェックしてくださった箇所。

そのひとつひとつに丁寧なコメントが添えられています。

こうして、ねんねこさんはお忙しい中、年内には校正を終えてくださいました。

この時の私は、年明け1月中には出稿できるかも…と思っていて、余裕を見て2月中を発売予定にしようと考えていました。

ようやくページ数も固まり、以前にも見積もりをいただいていたスピード冊子印刷さんに、再度最終見積もりをお願いしました。

その際、表紙とカバーの版下を制作するにあたり、背表紙の厚みがわからなかったのでたずねると、早々に計算して教えてくださいました。

そうして後ろ表紙の版下を作り始めた時、はたと迷いが出てきました。

私は後ろ表紙に、去年佐賀県の吉野ケ里遺跡を訪れた時に撮影した建物の写真を使用しようかと思っていたのですが、「これって、許可がいるの?」ということでした。

自分で撮影した公共の風景には著作権などには発生しないとの認識でしたが、再現された建物は公園の敷地内のものですし、建物も特定されます。

吉野ケ里遺跡は国の施設でもありますし、100冊しか作らない同人誌とはいえ、何かの時に問題になっては怖いなあとも正直思ったのです。

そこで、直接公園事務所に問い合わせてみることにしました。

率直に「同人誌に画像を使いたい」との意思を伝え、どのように使用するか版下見本も添付させていただきました。

すると担当の方からのお答えは、「同人誌への使用という案件は初めてなので少し時間が欲しい」とのことでした。

「なんだかおおごとになっちゃったかなぁ」とハラハラ。

それからしばらく時も経ち、時間的にもハラハラ。

私は量産する前に、校正用として1冊だけカバーなしで製本してもらうことにしていました。

本になった状態で校正するのはもちろん、質感や仕上がり具合などを、事前に見て安心しておきたかったのです。

それもスピード冊子印刷さんでお願いする予定にしていたのですが、自分でも校正にまた時間がかかることがわかっていましたので、ダメなら本番はデザインを変更するつもりで、とりあえず画像使用許可を待たずに見本を作っていただくことにしました。

そうして出来上がってきたのがこちらです。

カバーなしとはいえ、初めて本の形になった自分の作品との対面です。

本当にうれしかったです。

ちなみに見本1冊の費用は私の場合で6429円。

記念に自分の手元だけに本が欲しいという方は、比較的安価に作ってもらうことも可能ですのでありがたいですね。

そして見本の完成とほぼ同時に、画像の使用許可もいただけました。

あとは、最終校正をして量産用の版下を送るだけです♫

見本が届いたのが1月の末。

それから校正という名の読書を始めたのですが、2月上旬は娘の受験と重なりました。

そのため、遠方の大学への進学を希望していた娘に付き添う特急の中でも、赤ペンを片手に校正をしていました。

読破(校正)と修正をしている間に娘の合格発表があり、喜びに浮きたつ心を抑えつつ、なんとか最終発注をいたしました。

そして待ちに待った完成品が2月19日に届きました♫

100冊とはいえ、ダンボール箱3箱。

これが200、300となったらすごい量だなと思うと、本を作る時って、置き場所も考えておかなきゃいけないなあと今更ながら考えたりしてしまいました。

喜び勇んで、箱を開け、丁寧に紙に包まれた本を取り出してみると…。

「え?」

なんと、カバーも帯も付いていません。

裸のままの見本と同じ状態の本が出てきました。

「本だけがあまって、これだけがカバー無しなのかな」

と思いつつ、他の箱を開けてみましたが、あとの二箱も同じ状態。

「ちゃんと伝わってなくて自分で付けるようになってたのかな」

と、カバーと帯の別包装を探しましたが、それもなし。

「オーマイゴッド!!」

と、思わず頭を抱えて叫んでしまいました。

慌てて印刷屋さんに電話をし、その旨を伝えると、

「す、すみません!!!!」

と、手違いがあったことを謝罪してくれました。

「着払いで送り返してください」

とのことでしたので、その日のうちに返送することに…(涙)

この時は当初は2月発売予定であったものを、日食に合わせて3月9日に延ばしていて本当によかったと、胸をなでおろしました。

「さては月読、これも見越して日食をこのタイミングに起こしたかな」

なんて、都合よく解釈したりしましたが、こういう事態に備えて、早め早めに手配しておくことに越したことはないと改めて肝に命じました。

イベント参加に合わせていたりしていたら、大変なことですからね。

再び印刷屋さんに送り返し、カバーと帯を付けてもらっている間に、日頃から仲良くさせていただいている朧月夜さんとお会いできる機会がありました。

この時には完成品をお見せできる予定でしたが、残念ながらそれは叶わず、せめてもと見本を持って行くことにしました。

それでも月夜さんは、赤ペンだらけの本を興味深げに見てくださって、

「これはこれですごく貴重!」

と言ってくださいました。

※汚いですが月夜さんにも見ていただいた見本の中。

本の状態になってもまだ、こんなに迷っています(笑)

そして、2月25日、ようやく、ようやく完成品を手にすることができました♫

見本ではカバーと帯はなかったので、その完成度の高さに改めて感無量!

背面に正式に吉野ヶ里遺跡の写真を入れることもできました。

お世話になった方々の何人かにも、お渡しすることもできましたし、ひとまず一安心。

あとは、ネットショップ初心者の私が無事発売日を迎えられるのか。

それが目下の不安です。

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